現代短歌社

雪の偶然

吉川宏志

雪の偶然

第58回迢空賞
著者第九歌集。

修辞は、想像力は、ここまで磨きぬかれた。
世界の惨を、歌い尽くすために。
言葉は、ついに、無力だった、と証すために。

  • 言葉より狂いはじめし世にありて紅葉は何の内臓ならむ
  • 慰安所の扉に続く列がある 水溜まりを避けて途切れたる列
  • 幼な子が見しものは絵に残されて踊るごとし銃に撃たれたる人
  • 銃床に使われるというクルミの木 枝をくぐりて雪は降り来る
  • 匙もつ手 鱈をさばく手 ウラジーミル・プーチンと書き紙を折りし手
  • 定価:2,970円(税込)
  • 判型:四六判ハードカバー
  • 頁数:240頁
  • ISBN:978-4-86534-422-6
  • 発刊日:2023年3月25日
  • 発行:現代短歌社
  • 発売:三本木書院

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