運ぶ眼、運ばれる眼
今井恵子
第9回佐藤佐太郎短歌賞
つきるまで歩くほかなしビルの間を蟻の眼をたずさえ歩く
眼は視ることに飽きている。視なければ歌えないことに辟易している。そんな眼に、今井恵子は揺さぶりをかける。あるときは、眼の佇む場所を、時間の大きな流れのなかで相対化する。あるときは、都電に、自転車に、ひかり号に、船に、熱気球に、モノレールに、眼は空間を運ばれてゆく。眼は自由になりえたか。歌は何を超えようとしたのか。
「眼の移動」について考えた作品を一冊にすることとした。目の移動は、つまり散歩をしながらの嘱目である。(略)地を歩く自分と、交通手段に身を委ねている自分では、風景や人や音や匂いに対面する心の動きが違う気がする。作歌によって、何かの納得が得られるかもしれないと思ったのである。突き詰めれば、自分とは何かということなのだろうが、突き詰めるのは苦手である。(「あとがき」より)
- 定価:2,970円(税込)
- 判型:四六判ソフトカバー
- 頁数:228頁
- ISBN:978-4-86534-389-2
- 初版:2022年7月22日
- 発行:現代短歌社
- 発売:三本木書院(gift10叢書第44篇)
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