波動
川島喜代詩
随分と前から僕は、川島喜代詩の歌を鍾愛してきた。
今回、第七歌集『沈黙』までの歌集を通読して、第一歌集『波動』には、川島の詩情の基盤が充分に詠われていると実感した。
歌壇的には川島は「佐藤佐太郎の高弟」のイメージが強く、それがそのまま、川島は厳格な写実主義者、というレッテルに繋がったふしもある。
だが、この『波動』は、写実主義の一言には括れない柔軟な詩情に満ちている。
黒瀬珂瀾(文庫版解説より)
川島喜代詩没後15年を記念し、第一歌集文庫に入集!
- 冬の日の鋪道が遠くきはまりて陸橋となる隆起見えをり
- 人混みをわれの来しとき街川は潮退きしまま泥が暮れゆく
- かぎりなき波動のなかに波がしら折ふしにして立てるさびしさ
- 地下室となるべき位置の鉄骨が雨ふるなかに組まれつつあり
- 妻のゐる窓をまじへしアパートの灯の群落に向ひてあゆむ
- 定価:880円(税込)
- 判型:文庫判
- 頁数:170頁
- ISBN:ISBN978-4-86534-394-6
- 初版:2022年4月24日
- 発行:現代短歌社
- 発売:三本木書院
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