現代短歌社

完本 佐藤佐太郎全歌集

佐藤佐太郎

完本 佐藤佐太郎全歌集

第一歌集『軽風』から第十三歌集『黄月』まで定本に統一、簡便な文庫版とした初版本に、『帰潮』再版後記を新たに加えて刊行。解説・秋葉四郎。

全歌集収載の全句3万2622句を五十音順に配列した『佐藤佐太郎全歌集各句索引』(香川哲三編)とセットでお求めになることをおすすめしています。(文庫版376頁 定価 本体1667円+税)
https://gendaitanka.thebase.in/items/13434907

  • 3,300円(税込)
  • 判型:文庫判ソフトカバー
  • 頁数:824頁
  • ISBN:978-4-86534-260-4
  • 初版:2019年6月27日
  • 発行:現代短歌社
  • 発売:三本木書院

購入はこちら ご注文はメールまたはお電話でも承ります。
info@gendaitankasha.com


※ご注文いただく時点で品切の場合もありますので、ご了承ください。

BR書評 Book Review

待望の書 香川哲三

 佐藤佐太郎の短歌作品は、これまでに単行本、文庫本、選集、全歌集など様々な形で繰返し世に送りだされてきたが、全貌を見渡すと、三度の節目があったと言える。
 第一は、『軽風』から『天眼』途中までの作品を網羅した一九七七年講談社発行『佐藤佐太郎全歌集』がそれで、この時には作者の意思により、補遺作品の取捨と一部作品の推敲がなされ、これをもってそれまでの全歌集の定本としたのである。その後、『天眼』を含めて三冊の歌集が出版されたが、最終歌集『黄月』は、作者没後に志満夫人により編まれたものである。
 佐太郎は晩年に近づくにつれ、作歌数を節するようになり、『天眼』あたりからは世に示し人に贈った作品をおおよそ全て歌集に収載していたから、五年間の全作歌を収めた『黄月』三〇九首も、作者の意思が忠実に反映されていると考えていいのである。節目の第二は、以上のような経緯を踏まえて編まれた二〇〇一年岩波書店発行『佐藤佐太郎集』歌集編三巻である。
 本来ならば、これをもって完本とされるべきものであったが、残念ながら誤植等が指摘されていた。第三の節目は、前記三巻を底本とし、誤植等を正した二〇一六年現代短歌社発行『佐藤佐太郎全歌集』である。残念なことに、そこでも新たな誤植等が指摘されていた。今回発行の完本は、そうした実態を踏まえ、満を持して編まれたものである。
 ここでは、今は入手困難な『帰潮』再版後記が追加され、年譜の一部改正もなされている。作者自らが許した全短歌作品、各歌集後記、年譜、解説(秋葉四郎)がフルセットの『完本 佐藤佐太郎全歌集』は、既刊の各句索引にも対応しており、無線綴じも補強されて分厚い冊子に相応しい装丁となっている。正に待望の書なのである。


(現代短歌新聞2019年8月号掲載)

続きを読む

他の書評をみる

TOPページに戻る

トップに戻る