欅、その他
一ノ関忠人
音楽をかけて本を読み耽り、色鉛筆で野菜を写す。家族と語らい、少しの酒を呑み、夜はあやしい夢に魘され、朝は皿を洗う。日本の近現代史への悲憤をしずかに湛えながら、今日の仙人は老いを深めてゆく。佐藤佐太郎短歌賞受賞後の作を収録。
- 雨の後のあけぼの杉の若みどりシャワー浴びたる女身のごとし
- キッチンのシンクに一つ苺の蔕だれだかくれていのちを喰ふは
- 若き日の地下鉄の切符を持ちつづけ昭和天皇は自由を夢む
- 北庭にごろりころがる石がいふまあそのままで自然無為にて
- ベランダにほうとしてゐる老いひとり隣に妻が空を見にくる
- わが家の人麻呂どんが歌ひだす曇り空なれど薄く陽させば
- おとろへたる末の世なれば古き世を慕はしといふ兼好親し
- 定価:3000円(税込)
- 判型:四六判判ハードカバー
- 頁数:258頁
- ISBN:978-4-86534-515-5
- 初版:2025年9月25日
- 発行:現代短歌社
- 発売:三本木書院
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