水と自由
上川涼子
「言葉と修辞への潔癖なほどの神経が張り巡らされており、現実のありふれた事象はこんなにも豊かで繊細なものだったのかと気付かされる。文語旧仮名、そして定型という不自由が、世界を自由に生き返らせる。」
石松佳
「感覚の、鋭く立つ歌集である。表現が動的・予兆的で、言葉が比喩の枠に固まらない。
比喩を超え、物の髄まで到達しようとする。そのとき、この歌人の凄みがあらわれる。」
小池昌代
「喜怒哀楽などの感情を持つ「人間」という単位は排除され、身体は「夢の廃墟」として夾雑物を削ぎ落とされる。この歌集に収められた歌の清冽さは、この厳粛な美学の結果獲得されたものなのだ。」
菅原百合絵
- 鞍を外しし馬の背中のひろがりを潮の引きたる浜に見てゐつ
- たどりつくべき港などなきゆゑに鋏は紙をしづかにすすむ
- 小舟にも羽根にも喩へられながら耳と耳には澄みわたる距離
- 全天が繊月を得しこのゆふべ行き交ふ人の荷のひとつ、鍵
- 硝子戸に映れるかげは心臓のあるべき高さに草そよぎをり
- 定価:2750円(税込)
- 判型:四六判判ハードカバー
- 頁数:226頁
- ISBN:978-4-86534-513-1
- 初版:2025年8月27日
- 発行:現代短歌社
- 発売:三本木書院
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